2015年12月27日(日) 雪景色を求める旅(1)
JR完全乗車の旅 トップページへ
雪景色を求める旅(2)へ
今季の青春18きっぷ使用に伴う完乗の旅は2週間前から始まり、先週・先々週は聖飢魔Ⅱのミサとからめた旅を敢行しました。
さらに、年明けの1月には、とある地方へ複数日の遠征も予定しています。
となると考えなければならないのは、青春18きっぷをいつどうやって使い切るか。
ちなみに今季は、1枚5日分ではとても足りそうも無いので、2枚10日分を購入する予定となっています。
現時点で、1枚目4日目まで使用済みです。
となると、あと使用すべきは6日分となり、既に確定している旅の行程を引き算してみると・・・
どうやら、年内にあと2日分を使っておく必要がありそうです。
とは言え、明日28日は普通に出勤日だし、29日夜からは鬼ヅモ同好会合宿もあるしということで、泊をともなう旅を行うのは難しそうです。
日帰りの旅で、未乗区間を乗りつぶせて、かつそれなりに形になりそうな旅か・・・。
色々と悩む中で、旅の戦略とは別に
「そう言えば、今年はまだ雪を見ていないな。 そうだ、雪を見に行こう!」
と思い立ち、後付で完乗の戦略も盛り込みつつ、本日の行程を決めました。
今日もやってきた、早朝の横浜駅。
さて、今日も1日、たくさん鉄道に乗車する旅をするか~、と思っていたところ・・・
若い男「あれ、○○さんじゃないですか。」
と、声をかけられました。
見てみると、私が数年前まで仕事で関わっていた仕事関連の男女が4名。
どうやら向こうは、昨夜から飲み会&カラオケで、オールナイト後の早朝ハイテンションのようです。
私「あぁ、今から出かけるんだよ。」
若い男「どこ行くんですか~?」
・・・面倒くさいので、適当な事を言って撒いておきました。
学生は気楽でいいよなぁ。 まぁ、私も今から遊びに行くんですけどね。
今回の旅、どうも幸先悪いな・・・。
気を取り直して、青春18きっぷ(1日目)の5日目に押印してもらいます。
今回の押印歴は、新千歳空港駅・札幌駅・桜木町駅・多賀城駅・横浜駅となりました。
始めに乗車するのは、上野東京ラインの高崎行きです。
高崎駅に到着。
この辺りは首都圏ですし、何度も通過しているので、特に何も取り上げず、サクサク進みます。
高崎駅からは、上越線に乗り換えて、新潟方面へ向かいます。
約1時間で群馬県の水上駅に到着。
群馬ー新潟県境に近い水上では、既に雪が降っています。
そんなに積もってはいないものの、今年初めて雪を目の当たりにしました。
雪って、自宅付近に降ると対処が面倒だけど、旅先で見かける分には良いものですよね。
今日は、日帰りで手軽に雪景色を堪能しようと思います。
するとここで、駅構内にある掲示物を見かけました。
それは「ガーラ湯沢」の広告。
我が完乗の旅における「ガーラ湯沢」と言えば、昨シーズンに訪問するつもりだったのが予定が狂い、泣く泣く断念した経緯があります(2015年4月26日の旅日記(2)を参照)。
それがついに、今日この後、訪れることになりました!
8ヶ月越しの「ガーラ湯沢」リベンジ訪問。この後をお楽しみに。
それはともかく・・・
水上駅前の様子。
水上は温泉郷でも知られ、駅前にも土産屋等が並びます。
水上駅入口。
水上駅概観。
駅舎はここ数年で改築された、新しいものです。
改札から再び入場し、次の列車に乗車します。
この乗車はわずか9分のみで、目的地に到着します。
列車は、水上駅を出発します。
向かう先は、雪が降り積もる山中の方向です。
9分後、列車はとある駅に到着します。
その駅は、土合(どあい)駅。
上越線の群馬側県境の駅です。
土合駅は、見ての通りトンネル内にある駅です。
実は、土合駅のホームはここだけでなく、ちょっと遠い場所にもあるのですが、それは後ほど説明します。
トンネルの今来たほう(水上方面)を眺めます。
トンネル内は、一定の間隔で非常灯がともっているものの、闇がどこまでも続いている感覚にもとらわれます。
壁にある表示。
←3.9km 出口 9.6km→
という事は、ここはトンネルに入って3.9km、出口まで9.6kmの位置ということです。
つまり、全長13.5kmの大トンネルという事です。
トンネルの新潟方面。
駅のホームから向こうは全く何の明かりが見えず、文字通りの「闇」の世界です。
土合駅のホーム(上越線下り方面)
駅には待合室もあります。
待合室内は、意外と綺麗な椅子が並び、ちょっとした休憩ができるようになっています。
この駅、その「ちょっとした休憩」が必要となる駅なのです。理由は、このあとすぐ。
土合駅ホームから、駅の出口方面へ歩いていきます。
すると、目の前に現れた、長い長い階段。
比喩でなく、本当に長い長い階段!
これがこの土合駅最大の特徴です。
土合駅は、「日本一のモグラ駅」という愛称でも知られています。
今いる下り線ホームは山中の地下深い場所(地下70m程ですが、それでも海抜583mの高さ)にあり、ここから上り線ホーム及び駅舎にたどりつくには、この長い長い462段の階段を登る必要があるのです。
つまり、地中深くにもぐってしまっている駅という事で、「日本一のモグラ駅」なのです。
そもそも、この駅はなぜこのような変わった構造をしているのでしょうか。
駅周辺の地図です。
左側の線路が上越線下り線、右側の線路が上越線上り線です。
見ての通り、下り線は地中深くのトンネル内(新清水トンネル内)にあるのですが、上り方面は地上にあります。
もともと上越線は単線で、今の上り線側(地上側)の線路しかありませんでした。
その後、単線では輸送量に限界があるとのことで、上越線を複線化した際に、より長いトンネルである新清水トンネルを開通させたわけです。
そして、その内部に下り線ホームを設置するに至りました(地図左端の『上越線』の文字辺りが現在地ですね)。
ちなみに、川端康成の小説「雪国」の冒頭にある
国境の長いトンネルを抜けると雪国であつた
の「国境の長いトンネル」とは、上り線側の「清水トンネル」のことです(地図上部にある鉄道トンネル)。
この土合駅から清水トンネルに入り、抜けた所が「雪国」だったということですね。
現在は、清水トンネルは上り線(新潟→群馬方面)のみなので、川端康成の時と同じトンネルを抜けて「雪国」を目にする事はできなくなっています。
その後に開業した上越新幹線では、もっと深い場所に大清水トンネルが掘られ、さらに速達性が上がりました。
この県境には、鉄道だけで計3本の「国境の長いトンネル」が存在しているわけですね。
※参考資料
清水トンネル・・・全長9,702m、1931年(昭和6年)9月1日開通
新清水トンネル・・・全長13,500m、1967年(昭和42年)9月28日開通
大清水トンネル・・・全長22,221m、1980年(昭和57年)11月15日開通
土合駅とその関連事項に関する解説はこのくらいにして、この長い階段を登っていくことにします。
階段には、このように10段ごとに下からの段数が表示されています。
そして、階段の踊り場の所どころに、このように休憩用のベンチも置かれています。
ここにはエスカレーターもエレベーターも無いので、人によっては上がるのに一苦労だろうなぁ。
ちなみに、土合駅は谷川岳ロープウェイへの最寄駅となっており、谷川岳を登山する人たちがこの階段をよく登っていく姿が見られます。
登山道具を背負ってこの階段を登るのは、なかなか骨が折れることではありますが、そもそも
「土合駅の階段でへばるような登山者は、今すぐ引き返したほうが良い」
とも言われているようです(ごもっとも)。
私は登山などとてもできないし、しようとも思いませんが、このくらいの階段なら休憩せずに登れますね。
270段。休憩は・・・まだまだ。
370段。足が疲れてきたけど・・・まだ大丈夫。
登り始めてから7分後、ようやく頂上が見えてきました。
頂上に到着!!
462段、高低差70.7メートルを一気に登りきりました。
これは確かに、良い運動になりますね。流石に少し息切れしました。
ようこそ 土合駅へ
冷たく暗いトンネルを抜け、人の温かさを多少感じました。
下を見下ろすと・・・高い!深い!
こんなに深いトンネルを掘るということも凄いですが、そこを電車が高速で行き来するのだから、科学や鉄道技術の発達というものは素晴らしいものですよね。
外の光が窓越しに差し込んできて、地上の気配を感じる事ができます。
ようやく出口か・・・?
・・・あとまだちょっとだけ続くようです。
長い地下を抜けて、ようやく地上の改札口が見えてきました。
改札へは後で行くとして、まずは上り線ホームへ出てみます。
地中深くのトンネルを抜けると、そこはまさに「雪国」でした。
雪がしんしんと降り続いています。
新潟側へ行かなくても、ここでも充分な雪深さです。
足元の様子。
場所によりますが、大体は足首がすっぽりと雪に埋まるほどの深さです。
私は、雪も降っていない首都圏からそのままここへ来たので、当然ながら普通の靴。
防水効果等も全くありません。
まぁ、そんなにずっと歩くわけでないから、今日はこれでいいか。
その時、新潟側から上りの列車がホームへ到着しました。
列車は雪をものともせずに走り、土合駅のホームに乗客を一人だけ降ろします。
そして、静かにゆっくりと去っていく列車。
あぁ、私が今日見たいと思ってきたのは、こういう風景だったんだよなぁ。
今日は、これが見られただけでも来て良かった。
土合駅の表示板。
土合駅名標。
こちらも、駅名標。
このホームの海抜は665メートル。
結構、山の上にあるんですよね。
水上方面の様子。
ホーム上から、新潟方面。
先ほど、下り線ホームがあった山の方向。
山奥の吹雪く風景は、なかなか見られるものではありませんね。
見たかった雪景色を堪能し、この辺で駅の中に入る事にします(いい加減、寒いし)。
土合駅の改札。
当然ながら無人駅です。
駅の時刻表。
この駅へは、1日5往復の列車が来るようです。
列車の間隔は、今の時間は1時間半弱ですが、それ以外は2時間以上待つことがざらにあります。
駅入口から、改札方面。
無人ではありますが、建物は結構大きく、登山者が沢山の荷物を持っていても、それなりの人数は入れます。
外へ出てみると、やはり雪景色。
土合駅の駅舎を撮影します。
土合駅概観。
駅前は結構な広さの広場があり、駅訪問者なのか、登山者なのか、車も何台か停まっています。
外は雪が強く降っていますが、せっかく来たので、駅の周辺を散歩してみます。
駅前から公道に出てすぐ、陸橋が見えてきました。
あれは、先ほど地下から地上に上がってきて歩いた通路です。
通路の先は、山の地中に伸びています。
あそこから、70m以上も地下深くに鉄道のホームがあるというのも、信じがたい感じですね。
道なりに、しばらく歩いていきます。
近くを流れるのは、湯檜曽川(ゆびそがわ)。
利根川の支流の一つです。
やがて見えてきた、土合踏切。
土合駅上り線ホームから少し新潟よりに進んだ場所にあります。
踏み切りの向こうは・・・変わらず大雪。
このまま道なりに行けば、数分で谷川岳ロープウェイの乗り場に着きます。
当初、乗り場まで行ってみようと思っていましたが、この大雪だし、乗り場に行ったとしても実際に乗って山頂まで行く時間は無いしという事で、進むのはここまでにしたいと思います。
吹き付ける雪が、顔にビシバシ当たって痛いくらいですし・・・。
上越線上り線の新潟方面を眺めます。
向こうに見えるのは、紛れも無く「国境の長いトンネル」の入口。
あれを抜けなくても、もう既にここが雪国なんですけどね。
一応、見ておくべきものを見た感があるので、この辺で駅方面に引き返すことにます。
JR完全乗車の旅 トップページへ戻る
雪景色を求める旅(2)へ