2016年9月19日(月) 台風襲来、孤立脱出の旅
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九州の旅4日目。
旅もいよいよ後半戦。
今日も列車を散々乗り倒して、九州各地を訪れる予定です。
朝5時半の鹿児島中央駅。
今日もこれまでと同様、早朝からの行動開始となります。
乗り放題切符は2枚目に移り、1日目の部分に押印してもらいます。
鹿児島中央駅を旅立ちます。
今回は鹿児島本線の乗り残しが結構ある為、またいずれこの駅にも立ち寄ることがあるでしょう。
今日は、昨日も乗ってきた日豊本線を引き返す形で出発します。
車窓から見えた、早朝の桜島。
車内から無理やり撮影しましたが・・・やっぱり暗すぎて自分の指が写ってしまっていますね。
この先、列車は桜島から離れる方へ向かったので、それらしい姿を確認できたのはこれが最後でした。
さらば桜島。
次に来る時は、もっと完全な姿を見たいものです。
乗車すること30分弱で、隼人駅に到着しました。
JR隼人駅前。
駅名の左側にある、丸に十字の印は、薩摩ゆかりの氏族である島津氏の家紋だそうです。
また、駅舎はコンクリート造りが基本ですが、竹材も多く使われており、簾を駅舎にしたような変わった風貌をしています。
なかなか他には無い、味のある駅ですね。
ちなみにこの隼人駅周辺は、坂本龍馬が新婚旅行として訪れた地でもあるとのことです。
実際には、寺田屋事件での負傷を療養した際に奥方と連れ添ったというエピソードが「新婚旅行」と認識されたようですね。。
そんな新婚旅行のメッカでもある隼人駅でしばし時間を過ごし、次の列車に乗車するとします。
次に乗るのは、おなじみ肥薩線。
昨日の乗車で、吉松ー隼人駅間が残ってしまっていたので、これから乗車します。
肥薩線の列車内部。見事に誰もいません。
ちなみに、この列車は2両編成ですが、拠点駅以外では2両目のドアは開きません。
という事は、乗ってすぐ降りる人は大体1両目に座るわけで、2両目はご覧の通りというわけです。
こんな朝っぱらから終点まで乗り通そうという変わり者は、私ぐらいしかいませんし。
隼人駅発、肥薩線の旅スタート。
山奥の駅で、対面列車と行き違いをします。
その駅は、表木山(ひょうきやま)駅。
・・・随分と年季の入った駅名標ですな。
造りは割りと最近のものっぽいんですけどね。
今日の肥薩線は、山奥を通りつつも、昨日ほどの秘境というほどではなく、鹿児島の山並みを楽しむ事ができました。
吉松駅に到着。
これで、昨日の乗車と合わせて、肥薩線の完乗が完了しました。
ただ、今乗っている列車はここが終点ではなく、ここからさらに吉都線に入り、都城駅まで行きます。
・・・という事は、昨日完乗した吉都線を、今日も改めて完乗することになります。
完乗の旅をしていてもなかなか無い、2日連続の同一線(同じ方向で)完乗。
・・・まぁ、昨日は正直、肥薩線の旅の直後で少し意識を失っていたので、今日は改めて吉都線の車窓を満喫しました。
吉都線の終着駅、都城駅に到着(1日ぶり、2回目)。
今日の発電量は・・・274kwとのこと。
晴れていた昨日と比べて、5分の1程の発電量のようですね。
それでも、60インチくらいの液晶テレビが1000台くらい動かせる発電量なので、やっぱり太陽のエネルギーって、凄いなと実感します。
さて、都城駅到着時点で時間は9時46分。
早朝に活動を開始した私の腹時計的には、そろそろ昼食の時間です。
次の列車まで1時間程あるので、駅を少し離れて、遠出することにしました。
向かったのは、駅から徒歩10分程の場所にある某大手ショッピングモール。
そこのトンカツ屋がちょうど10時開店という事なので、きちんと食べて体力をつけるために行ってきました。
お目当ての店についた・・・までは良かったのですが・・・
ここの店員のねーちゃんが、とにかく接客態度が悪い。
一目見たときから、明らかに不機嫌な顔。
席への案内や注文の説明の時も、目を全く合わせず、低い口調を全く変えず、壁に向かって話している感じ。
注文後、厨房に戻って食器の整理をしているようなのですが、とにかく食器を片付ける音がうるさい。
私は10メートルくらい離れた席に座っていたのですが、それでもはっきりと耳障りなほど、食器音をガチャガチャならしています。
厨房にももちろん他の店員はいるのですが、その勤務態度を全く注意しません。
・・・これはハズレを引いてしまったかな。
まぁ、アルバイト店員(多分)の態度が悪いのは本人のせいとして、注意しないのも他の店員のせいとして、それでも料理の味が良ければ、良しとするか。
列車の時間を気にしながらも、せっかく来た料理を味わいます。
お味は・・・・・・トンカツの旨みがほとんど感じられない。
油っぽさが少なめなのは好感が持てるとしても、肝心の肉の味までもがほとんど無し。
無論、味は人の好みがあるものなのですが、薄味思考の私がかなり薄味と感じるからには、やはり残念な調理・味付けと言わざるを得ません。
チェーン店のようなので、失敗は無さそうと読んでいましたが、浅はかでしたね。
・・・ハッキリ言って大外れだった!
もちろん、今回「たまたまこうだった」ということもあるかもしれませんが、旅先での食事は常に一期一会。
「次も是非来よう」という店でなかったのは確かです。というか、もう来ません。
さらば、都城駅。
良からぬ思い出の残るこの街、好んで来る事はもう無いだろうなぁ。
都城を後にして、日豊本線をひた走ります。
天気は段々と荒天となっていき、雨風が強まってきました。
台風は今日の午後から接近するとのことで、いよいよ九州に台風襲来の時が来ました。
途中の南宮崎駅。
ここは日南線の始発駅でもあります。
ただ、運転上は次の宮崎駅が始発となることが多いので、一旦は宮崎駅まで行ってから、引き返してくる形になります。
南宮崎ー宮崎間は2.6km。
途中の大淀川を渡れば、目と鼻の先です。
終点の宮崎駅に到着しました。
次の列車まで30分ほどあるので、改札の外に出て、宮崎駅を散策してみます。
宮崎駅外観。
ちなみに、駅の外観を撮るのに、なぜこんなに寄った絵なのかというと・・・
この通りのどしゃ降りだからです。
風はそれほど強くないけど、とにかく雨が強い。
いよいよ台風感が増してきましたね。
ただ、台風が来つつも列車は無事に運転を続けています。
乗り続けられる限り、鉄道の旅を続けようと思います。
次の列車は、日南線の列車、名前は「快速マリーン号」。
終点の志布志(しぶし)駅まで乗り換え無しで行ってくれます。
ちなみに、日南線は宮崎県の東海岸沿いに南下していく路線です。
という事は、海の景色を見るべきに座る席は・・・進行方向左側ですね。
無事に絶好の席を確保し、これから2時間半に及ぶ日南線の旅がスタートします。
列車が出発すると、雨脚はさらに強まり、列車は所々で徐行運転を始めました。
今は数分の遅れだけど、いよいよ列車運行にも影響が出るほどに台風が接近してきたわけですね。
この後、大丈夫かなぁ・・・。
途中の「子供の国」駅。
何でも、近くに遊園地「こどものくに」があるから、この駅名なんだとか。
でも、その割には1日の平均乗車人数が40人ほどという、来園目的にはほとんど利用されていない駅でもあります。
まぁ、この辺りは車社会でしょうから、ほとんど車での来場なんでしょうねね。
日南線も本数が少ないし(特急含め、1時間に3本ほど)。
子供の国駅を出発して、ほどなくして見えてきた、宮崎名物の「鬼の洗濯板」!
・・・かろうじて見えるけど、やっぱり大雨でよく分からん。
一応、洗濯板っぽい岩の形は見えました。
今日のところは、存在確認できただけ良しとしますか。
時間が経つと、雨が段々と弱まってきました。
もう既に、ほとんど降っていません。
風もそれほど強くないし、これは今日の旅も何とかなりそうですかね。
終点に程近い、福島高松駅。
こういう駅名ですが、福島市や高松市とは全く関係ありません。
かつてこの辺りにあった町名・地名を組み合わせてこうなってしまったらしいのです。
駅名標もいい味だしているし、ここも秘境駅の一つです。
列車は、宮崎県から再び鹿児島県入りし、小雨の降る天候の中、終点に至ります。
日南線終着駅の志布志駅に到着しました。
雨は本当に小降りとなり、傘をささなくてもそれほど濡れない程度です。
ローカル線の終着駅にふさわしい、おちついた静かな駅です。
雨風もほとんど無くなったし、穏やかな来訪となって何よりです。
さて、この志布志駅での待ち合わせ時間は約1時間。
折り返しの列車に乗って、宮崎方面に向かう予定です。
その時、観光案内所の中年女性(私にとって恩人なので、「淑女」としておきます)が話しかけてきました。
淑女:帰りは電車ですか?
私:はい、そうです。
淑女:台風の影響で、次の電車が今日の最後になるそうですけど、大丈夫ですか?
私:あ、そうなんですか。大丈夫です。
(次の列車で油津(あぶらつ)駅まで行って、そこから乗り継ぐ予定なので、OK)
淑女:油津駅が終点で、そこから先の電車はありませんが、大丈夫ですか?
私:・・・えッ!?
淑女:今からだと、宮崎駅までは戻れませんが、大丈夫ですか?
私:・・・大丈夫じゃないです。
何と、ここでまさかの帰り列車無し、という状況に陥ってしまいました。
明日、福岡空港に到達する為には、今日中に宮崎駅までは戻らないとまずいです。
私の頭の中で、妥協案が色々と巡ってきました。
(とりあえずは、途中の油津までは行ってみるか?
・・・でも、そうすると油津一泊か、宮崎までタクシーか。
タクシー使用となると・・・多分、万単位だな)
(それとも、ここ志布志で一泊して、明日は特急なども使って帰るか?
・・・でも、聞いた話だと明日は始発から運休が決まっているらしい)
淑女:何なら、油津駅に電話して、バスとか無いか聞いてみましょうか?
私:ぜひ、お願いします!
(淑女、電話中)
淑女:油津駅からのバスは、たった今、最終が出てしまうようです。
私:そうですか・・・。
淑女:列車内で運休のアナウンスも無かったようですし、バスやタクシーの救済
措置が無いか、聞いてみましょうか?
私:ぜひ、お願いします!
(淑女、交渉中)
淑女:既に運休は決定しているので、無理みたいですね。
私:そうですか・・・。
淑女が気を利かせて色々と策を講じてくれるのですが、どうも有効な手段がありません。
・・・となると、ダメージが少ないのは油津からタクシーでの万単位支払いか?
乗り放題切符を使ったエコノミー旅行なのに、ここで万札放出は、金額以上に精神的にダメージがあるなぁ。
でも、このままだと日南線沿線すら脱出できないし、背に腹は変えられないか・・・?
などと考えていると、
淑女:あとは・・・路線バスで都城に出るくらいしか無いですかねぇ。
私:・・・都城?(どこかで聞いた地名だなぁ・・・・!!あの街か!!)
(都城イメージ図)
今日の昼食が思い出されて何とも言えない気分なのですが・・・
こうなった以上は、手段を選んでいられません。
私:都城行きのバスについて、詳しく教えてください!
淑女:ええと・・・40分後に、ここから歩いて5分の場所にあるバス停出発ですね。
料金は、都城駅まで1,050円だそうですね。
都城から宮崎方面への電車は・・・バス到着後くらいまではあるそうです。
私:おぉ!ぜひ、それを利用します。本当に助かりました。ありがとうございます。
淑女:そうですか。お気をつけて。
予想外の閉じ込め作戦を宮崎県にお見舞いされたわけですが、淑女の手厚いサポートにより、微々たる出費(1,050円)でこの状況を脱出できるようになりました。
まさか、このような状況で志布志駅を脱出するとは思わなかったなぁ。
今後、きちんと周辺を散策できる環境で再訪し、志布志駅を良い思い出で上書きしたいものですね。
5分後、淑女に教えてもらった場所に、バス停を発見しました。
都城行きバスは・・・16時01分出発か。(一番右下のバスですね)
現在は15時30分なので、バスの到着まではあと30分以上あります。
近くにラーメン屋もあるようなので、寄ってみる・・・のもいいかもしれませんが、食事していてバスを乗り逃しても間抜けなので、ここで待つ事にします。
このバスを逃すと、本当に脱出不能でしょうからね。
場末のスナックらしき建物の軒下で雨宿りしつつ、タブレット端末で漫画を読みつつ時間をつぶし、定刻通りに到着したバスに乗り込みます。
バスが進みだすと、途端に大雨になってきました。
雨風はだんだんと強まっていき、まさに「暴風雨」状態となりました。
なるほど、確かにこのくらいの雨風なら、列車も止まってしまうのは納得です。
先ほどまでは雨も止んでいたので、あまり大事に思っていなかったなぁ。
バスは、ところどころ冠水気味の一般道を力強く走りぬきます。
「列車の旅と言えども、時にはバスを有効活用すべし!」
今後の旅の教訓にするとしましょう。
志布志のバス停を出発して1時間半後、バスは無事に都城駅に到着しました。
都城駅前(7時間ぶり、3回目)。
この街には、もう来ないはずだったのに・・・。
私自身、実生活でも、こちらが好まない相手に何故かやたらと好かれる覚えはあります。
駅に着くと、多くの人が列車の運行状況を注視していました。
あと少しすると全ての列車が運休。
そのため、どこまでなら列車で到達可能かも含めて、問い合わせが殺到しているようです。
とりあえず駅のホームで待ちますが、予定の時間になっても列車は来ません。
運行されているのは確かのようですが、風雨が強くて徐行運転をしている関係で、大幅に遅延しているようです。
まぁ、ここまで来たら遅れようが何しようが、とにかく目的地に着けば文句は言うまい。
予定の時刻から30分程経過した頃、ようやく列車が来ました。
この列車は事前の情報どおり、宮崎駅までは行ってくれるようです。
列車は途中、徐行運転をしながらもしっかり走り続け、終点の宮崎駅に到着しました。
日南線沿線での孤立状態を免れ、何とか宮崎駅までは戻って来れました。
列車の案内盤を見ると・・・
本日は終日運転見合わせ、明日9/20は始発より運転を見合わせます。
とのこと。
正真正銘、今乗ってきたのが宮崎駅を発着する最後の列車だったわけですね。
本来の予定だと、今日は宮崎よりもさらに先の延岡まで着いているはずだったのですが、こうなったら宮崎で一泊するしかなさそうです
というか、明日飛行機に乗れるのかも怪しくなってきました。
ちなみに、列車の運転再開予定は明日の午後とのこと。
・・・となると、少なくともそこから列車に乗っても、夜までに福岡空港には着けない・・・か。(明日の帰りの便は、福岡空港20時45分発)
宮崎駅に着いてからも、色々と片付けなければならない課題がいくつもあります。
まずは・・・今日、泊まる予定だった延岡の宿をキャンセル。
これについては、電話一本入れたら、キャンセル料なしで解約できました。解決。
次に・・・本日の新たな宿。
流石に宮崎駅は拠点駅だけあって、駅前にいくつも手頃なホテルがあります。
ただ、外は大雨なので、「行ってみたら満室だった」という無駄足は踏みたくない。
きちんと予約手続きをしてから現地へ向かうことにします。
スマホで近くのホテルを検索して、5分程操作すると・・・予約できました!
駅から歩いて10分弱の所に、宿を確保できました。
駅の外は依然として暴風雨でしたが、何とか力を振り絞ってホテルに到着しました。
この時点で時刻は20時。
すぐに服を干しつつシャワーを浴びて、身支度を整えると、何とか冷静にこれから取るべき行動を考える余裕が出てきました。
まず、鉄道は明日の昼までは絶望的。
この時点で、日豊線を使って小倉以降まで至ろうという、当初の計画は水の泡です。
そもそも、正常のダイヤだったとしても、今日の時点で先の延岡に至っていない段階で計画変更せざるを得なくなっています。
じゃあ、各駅停車を諦めて、特急を使ってでも博多に至るか?という案もありますが、明日の昼から特急を使っても、明日の飛行機までに福岡空港に至るのは不可能。
それに、昼まで待てば必ず正常ダイヤに復旧する、という保証はありません。
・・・となると、宮崎を脱出するための最終手段は・・・バスしかありませんね。
バスには、先ほど志布志からの脱出でもお世話になったのですが、ここ宮崎からの脱出でも、再度頼ってみます。
それに、宮崎ほどの規模の駅なら、都市間バスのようなものも期待できるはず。
スマホで調べてみると・・・ありました!
そのものズバリ、宮崎ー博多間の高速バスです。
どうやら、宮崎発・博多行きフェニックス号は、1時間に1本程度出ているらしく、料金は4,630円、所要時間は4時間半程度とのこと。
本来の行程には無い出費ですが、鉄道でのゴール自体が不可能な今となっては、5,000円弱で帰路に着けるのだったら、上出来でしょう。
出発時間に関しては、早すぎず遅すぎずの、9時出発便を選びました。
スマホを使っての席確保もOK。支払いもカード決済。
いやぁ、こういうときに手軽にネット接続できる最近のスマホは威力を発揮しますね。
計画は変わってしまったけど、これで明日の昼過ぎには博多駅に着けるし、飛行機は20時45分発なので、少し観光もできそうですね。
気持ちを切り替えて、残り半日くらい、観光するなどして九州を堪能するとしますか。
そんな事を考えながら、機転を利かせた対応が出来た事に満足し、床に就きました。
・・・しかし、台風との闘いはまだ終わっていないことを、このときの私はまだ知らなかったのです。
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