2015年9月20日(日) 上陸!試される大地への旅(2)
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2015年9月20日(日)13時57分
蟹田の駅名標。
そして、ホームに設置された「北緯41°」の表示。
ニューヨークは置いておくとしても、ローマと同じくらい北と言われると、だいぶ北上してきたという感覚がありますね。
その表示の裏側。
太宰治「津軽」より
蟹田ってのは 風の 町だね
・・・うん、まぁ、偉人が放った言葉は何でも素晴らしい、ってことなのかな。
改札を通り、駅の外へ出てみます。
蟹田駅外観。
小さい駅ではあるけれど、北の大地への乗換駅とあって、小奇麗に整備されています。
さて、この蟹田駅では乗り換え時間が94分間と潤沢にあるため、暇つぶしの方法を模索します。
駅前は、見ての通りの感じ。
当初は、この合間に食事をするつもりでいましたが、スマホで検索してもそれらしい飲食店が見つからなかった為、先ほどの青森駅で昼食を摂っていたのでした。
となると、なおさら暇な訳なのですが・・・
周辺地図を検索してみると、歩いてすぐの所から海が見られるようなので、行ってみました。
駅から徒歩で約5分、海が広がる場所に出ました。
海の向こうには、先ほども見えていた北の大地?が見えています。
視界の右方向には、こちらもやはり陸地が見えています。
こちら側が、先ほどまでいた青森方面ってことなのかな?
せっかくなので、スマホの地図を見てみました。
なんだ、結局どちらも青森だったのか。
こうして改めて見てみると、対岸の下北半島って巨大なんだなぁ。
堤防らしき場所の手前から海を見ていると、堤防を乗り越えて浜辺へ出る人達がいたので、私も後に続くことにしました。
目の前に広がる、蟹田の海岸。
向こう側に見える青森の陸地。
ここ津軽半島と向こう側の下北半島との間にある小さな半島です。
後で調べてみたところ、名前は夏泊(なつどまり)半島というらしいです。
おお〜、そんな名前だとは。全く聞いた事無かった。
完乗の旅をしていると、つくづく日本の地名に明るくなりますなぁ。
再び、下北半島側。
この日は海辺でも風がそれほど強くなく、穏やかな海の表情を見ることができました。
青森市側を臨みます。
日差しも強く、本当に夏としか思えない気候です。
まぁ、ただ東北地方はあと2ヶ月もすれば極寒の冬を迎える訳ですし、初めて訪れるならば難易度の低い今の時期、という判断は正解ですね。
素晴らしい海の風景、ただ逆に言えばそれ以外に何も無い訳なので、1時間程ぶらぶらボーッと時間を過ごしました。
列車の時間が近づいてきたので、蟹田駅に戻ります。
ここからは特急白鳥に乗車します。
通常、青春18きっぷ等の普通列車乗り放題切符は、特急列車に乗車できないのですが、今回は別。
ここ蟹田駅と次の停車駅である木古内(きこない)駅間は普通列車の設定が無く、必ず特急列車に乗らなければならないため、この駅間のみ乗り放題切符で乗車が可能なのです。
この特例については、乗り放題切符購入時の注意書きにも書いてあり、当然私も知っていたのですが、その特例を今回実際に使う事になりました。
本州で最後に見る青森県の風景。
さらば本州、またいずれ(2日後に)会うとしよう。
じきに列車内では、青函トンネルに入ったことを知らせるアナウンスがありました。
この青函トンネル、2015年時点においても交通機関用の世界最長トンネルであるとのこと。
開業当時は「昭和三大バカ査定」と揶揄された経緯のある当トンネルですが、実際にできてみると、気候に左右されず旅客や貨物を運送できるメリットは大きく、今度の北海道新幹線開業においても無くてはならない存在となっています。
列車は青函トンネルの海底部分を脱出したとの案内の後、いよいよ北海道側の最初の駅である木古内に近づいてきます。
暗く長いトンネルを延々と走り続けていると・・・
ふいに車窓の外が明るくなり、山奥の景色が見えてきます。
おッ!? ついに上陸したのか?
上陸・・・したんだよな?
私の近くに座っていた学生らしき人も、同じような考えを口にします。
見た感じは青森と大して変わらない気もしますが、スマホの地図検索では、確かに上陸したようです。
ついに我が完乗の旅は、「試される大地」こと北海道に上陸いたしました。
いや〜、「初めての北海道上陸は青函トンネルを通って行く」と決めていたので、無事に達成できて感激ですね。
飛行機を使ってしまえば、羽田空港から2時間もかからず北海道へ来られるのですが、今回ははるばる横浜から、1日半かけて上陸しました。
これから数日間、この北海道の列車の旅を堪能しますよぉ。
青函トンネル内では在来線と線路を共有していた北海道新幹線ですが、北海道上陸後はまた別々の路線に分離します。
そして蟹田を出発してから50分ほどで、北海道初の駅、木古内に到着しました。
木古内駅名標。
JR北海道独自の、この白に緑の駅表示。
今まで他の人達の写真では見ていたものの、今回初めて自分で見ることができました。
在来線ホームからは、新幹線ホームも見えます。
半年後に北海道新幹線の木古内駅となる予定の建造物ですね。
JR完乗を名乗る以上、ここも開業後に改めて新幹線で訪れなくてはなりませんね。
木古内駅からは、江差線の列車に乗車して、北海道の都市である函館を目指します。
木古内の隣駅である札苅駅。
北海道は、他の地域には無い様な響きの駅名も多く、鉄道野郎心をくすぐります。
ちなみに・・・
JR北海道管内では、写真のようなサッポロビールをスポンサーとする駅名板がどの駅にも設置されています。
黄色の縁取り、藍色を背景とした白色ゴシック体の駅名の表示は、北海道で列車の旅をする際のシンボルにもなっています。
こちらも、自分の目で見たのは初めて。
列車は、北海道の大地をひた走ります。
途中の五稜郭(ごりょうかく)駅に到着。
今日はここからさらに北上予定であり、それならばこの五稜郭駅で乗り換えるのが最速なのですが、完乗目的なので、もう一つ先の函館駅まで乗車します。
函館駅に到着。
横浜出発からほぼ2日間。
各駅停車に揺られて、文字通りはるばる来たぜ。
先ほど撮り忘れていましたが、函館ー木古内の行き先表示。
最近ではLEDのデジタルでの行き先表示が多い中、今でも手差しが健在です。
さて、ここ函館といえば何と言っても・・・
「100万ドルの夜景」とも呼ばれる、函館山からの夜景。
見ての通り、素晴らしい景色ですね。
こんな景色が見られるとは、はるばる来た甲斐があったというものです。
・・・というのは冗談で、単に駅にあったパネルを撮っただけでした。
残念ながら、今回の旅の行程では函館山に登る予定は無いので、一応気分だけでも景色を味わっておきました。
函館駅全景。
手前にある人型?の謎のオブジェはともかくとして、北海道最初の大都市である函館にふさわしい、デザイン性にも優れた駅舎です。
遠く向こうには、先ほどの函館山が見えます。
山頂に向かうロープウェイ(山頂左下の小さな点)も確認できます。
いずれ来た際には、登ってみたいものです。
さて、ここ函館駅では乗り換え時間が63分間あるので、充分に食事をする時間があります。
函館で食事と言えばやっぱり・・・
何と言っても海鮮丼ですよね。
駅のすぐ近くには「どんぶり横丁市場」なるものもあり、観光客が手軽に北海道の海の幸を味わえる店が、多く軒を連ねます。
私は、事前にスマホで調査済みの店へ向かいます。
既に注文するメニューも決まっており、準備万端ですな。
・・・閉まってました。
おかしいなぁ。開店時間や定休日もきちんと調べてきたのに。
仕方が無いので、他の店へ行く事にします。
辺りを歩いていると、夕飯時の午後6時だというのに、閉店している店が数多くあります。
恐らく、早い時間に食材が売れつくされての閉店なのでしょう。
準備万端で臨んだつもりでしたが、考えが甘かったかもしれませんね。
ただ、閉まっているとは言っても、店自体が数十軒あるので、どこか一つぐらいは開いているもの。
あまり時間はかけられませんから、手頃な店を見つけて入店します。
この店の代表メニューと思われる「北海丼」。
うに、いくら、ほたて、かに、いか、甘えびの六色丼(3,240円)となっています。
お味は・・・
これは相当美味い!
素材の良さにあぐらをかくことなく、きちんと旨みを引き出している!
六色が互いに喧嘩する事なく、それぞれが完成された味付けになっていて、丼そのものをより素晴らしいものに仕上げている!
・・・と、良く分からないことを言いましたが、とりあえずかなり美味かったです。
やはり、北海道に来たら新鮮な海の幸は欠かせませんね。
大満足の夕食を終え、次の目的地へ向かう為に函館駅へ戻ります。
もっとゆっくりしていきたいけれど、私には行かなければならない場所がまだ沢山あります。
次の再訪を楽しみに、旅を続けます。
・・・と、ここで函館駅の駅名板などの撮影を忘れていたことに気付いたので、出発前に撮っておきます。、
函館駅ホームに降り立って、まず目にする歓迎板。
例のサッポロビールによる駅名板。
そしていつもの駅名標。
あ、こちらはさっきも撮ったか。
そして、函館本線始発のどん詰まり。
どん詰まりから列車を見たところ。
ここからは、函館本線の普通列車で森駅まで向かいます。
ちなみに函館本線は、大沼公園を経由する「本線」と、鹿部を経由する「支線」とがありますが、今回は「支線」の方に乗車します。
列車の中は乗客がほとんどおらず、半貸しきり状態。
とは言え、夜になって外の景色も良く見えないので、何をするわけでもなく淡々と乗車を続けます。
90分の乗車の後、森駅に到着しました。
も
り
う〜ん、シュールだ。
森駅、函館方面。
森駅、札幌方面。
見事に真っ暗ですねぇ。
この辺りは海の近くなので、昼間であればホームからも海を望む事ができるはずなのですが、現在は見ての通り。
駅前の温度計によると、現在の気温は16℃。半袖だと肌寒いです。
今回の旅、昼と夜の寒暖差が大きくなりそうな気候なので、体調を崩さないよう注意するとしましょう。
本日最後の列車に乗車します。
こちらも、乗客はほとんどいません。
やはり景色は見られませんが、これも明日の秘境駅訪問には必要な乗車。
予定通りの行程をこなすため、きちんと目的地へ向かいます。
30分が経過し、列車は本日の終点に到着しました。
列車は私を降ろし、先を急ぎます。
本日の終着地、八雲駅に到着しました。
今日はここで一泊し、明日に備えます。
八雲駅は、一応は駅員がいる駅なのですが、夜間(19時30分から翌朝7時まで)は不在とのこと。
もちろん今はいませんが、明日は7時過ぎの乗車なので、ちゃんと改札を通る事になりますね。
八雲駅舎内。
こじんまりとした駅ではありますが、設備はきちんとしていて、綺麗な印象ですね。
八雲駅から外に出ます。
北海道新幹線が開通した暁には、この辺りにもより一層来易くなりますね。
あとは、将来札幌まで延伸した際には、この辺りにも新幹線の路線が通ることになるのでしょう。
八雲駅外観。
駅前で待つタクシーには当然ながら目もくれず、コンビニで今日の買い物を済ませ、宿泊場所へ向かいます。
今日の宿泊場所は旅館風のたたずまい。
いいね、いつもホテルばかりなので、たまには違った趣の所に泊まるのも良いですね。
・・・ただ、この時点で何ともいえない違和感を感じます。
旅館のフロントにて、チェックインを済ませます。
女主人「○○さん、和室1名様ですね。」
私「あ、はい。」
・・・和室?
やはり多少の違和感を感じます。
女主人「大浴場は22時までなので、今からならあと30分くらいは入れますよ。」
私「えっと、はい、ありがとうございます」
私はいつも朝に風呂へ入るので、大浴場は必要無いな。
・・・でも、何かひっかかるな。
そう思いながら自分の部屋へ行き、入り口の鍵を開けて中に入ると・・・
畳に敷布団。
和室・・・か! という事は・・・
自室には当然風呂が無い!
そうか、言葉にできなかった違和感は、この事だったのか!
そもそもこの部屋、旅の計画当初は予約でいっぱいだったので、別の遠い場所をとっていたのですが、予約していた人がキャンセルしたようで、私がここぞとばかりに予約して、今に至る訳です。
その時は、予約できた事に大喜びしていたので、細かい部屋の状況までは気にかけていなかった・・・。
まぁ、このシルバーウィーク真っ只中の今、宿泊場所が確保できるだけでも良しなのですけどね。
ただ、こうなると明朝の風呂は入れないことになるなぁ。
どうする? 朝入れなくとも、今だけでも入っておくか?
・・・今は和室による計画変更と旅の疲れで、そんな気も起きてこないなぁ。
でも今日は結構汗をかいたので、せめて濡れタオルで体を拭いて応急処置?しておこう。
そういえば、部屋の中は湿度があって少し蒸し暑いけど、空調のスイッチはどこかな?
扇風機!
おお・・・何という・・・。
まぁ、自分でも贅沢言っているのは分かっていますけどね。
全国様々旅をしようという際に、満足に宿のない地域など山ほどあるし。
完乗の旅をする人の中には、駅寝を当たり前にこなす猛者も多くいる訳ですし。
ただ、当然あると思っていた物が無かった時の失望感って、あるじゃないですか。
それが5泊6日の大旅行中で、少しでも普段の調子を保ちたいと考えていたので、なおさら焦りも出てしまうわけで。
とにかく、現状に文句ばかり言っていても仕方ないので、カバンの中身整理やバッテリーの充電など、やるべき事をやっておきます。
それから気になるのが、駅からここに来るまでの間、旅行カバンのキャスターの調子がおかしくなっているのを感じていた事。
そもそも昨日から、キャスターが真っ直ぐに転がらず、左右にブレてしまう事が度々あったのですが・・・
キャスター、見事に限界まで消耗。
しかも、キャスターの一つは小石か何かを咬んでしまったらしく、全く動きません。
キャスターは前2つ、後ろ2つの計4つあるのですが、後ろ2つが完全に使用不能になってしまいました。
仕方ないので、今後はカバンの前を前方に倒す形で運ぶしかないか。
今までよりも持ちづらい形にはなりますが、それでも重い荷物を常に持ち上げて運ぶよりはマシなので、選択の余地はありませんな。
色々とイレギュラー続きで心穏やかでは無いけど、ここは冷静に対応するとしよう。
さて、そろそろ明日に備えて寝るために、歯を磨くか。
部屋の中には洗面所やトイレも無い為、部屋の外にある洗面所に向かいます。
用を済ませ、部屋に戻ってきてドアに鍵をかけようとすると・・・
何故か鍵がかからない! (写真下側の回転式の鍵)
正確には、「借りた鍵で外側から施錠はできるが、内側からドアを閉められない」。
回転させる力を強めたり弱めたり、ドアをきちんと閉めたり微妙に開けたりと、色々と加減を変えてみるのですが、やはりどうやってもかからない。
おお・・・何という・・・
部屋に風呂が無いとか、キャスターが消耗したとかは仕方の無いことだけど、鍵がかからないのは流石に致命的だろう・・・。
いくら「試される大地」と言っても、観光客の生きる力まで試すことは無いだろう・・・。
既にフロントは終了し、鍵がかからない事を報告できる相手もいません。
ようし、ここまで色々な仕打ちを受けたら、こちらも手段を選んではいられませんな。
部屋の入り口にあった・・・なんだろう、これ? タオル掛けかな?
この道具を・・・
ドアの所で横倒しにし、文字通りの「用心棒」にします。
サイズはぴったり、万が一にも泥棒が侵入しようとしても、何とか鍵代わりになりそうです。
やれやれ、部屋のセキュリティを保つのに、こんな事までしなければならないとは。
「試される大地・北海道」の洗礼を受けてすっかり疲れてしまったのですが、まだまだ旅は6日中の2日目。
明日も充実した旅にすべく、床に就くのでした。
・・・明日以降も色々と大丈夫かな。不安だ。
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